私が母より娘を選んだ日②
娘を妊娠し、安定期を過ぎた頃、職員の方から連絡があった。
母の携帯が繋がらない、利用停止の状態になっていると。職員の方が母の職場へ行き話をすると、母はブスっとした顔で、「残りは娘が払うことで話がついていますから、今後は娘に取り立てて下さい」と言ったそうだ。
私はパニックになり、母にラインして自宅へ呼び出した。幸いにもラインは通じた。
1人では冷静に話が出来ないと思い、祖父にも来てもらった。
その頃の私は、妊婦健診で子宮頚がんの検査に引っかかり、かなりナーバスになっていた。
産後すぐに手術をすることになるかもしれない、子供に影響はないのか、不安で仕方ない時期だった。
それに加えて母の借金まで背負わされてはたまらないと思った。
子供が産まれるんだから、今までみたいに母へお金の工面は出来ない。仕事もずいぶん前から昼職に変えた。旦那と娘と普通に、真っ当に生きたかった。
母は自宅へやって来てすぐに、私のお腹を触ろうとした。
私は母へ飛び蹴りをした。
もうボコボコに殴って蹴った。母も抵抗した。掴み合いになった。
「死ね」
「一分一秒でも早く死ね」
「ずっと死んで欲しかった」
「お前の娘に産まれたくなかった」
「私の娘をお前に殴られてたまるか」
「私の娘まで金ヅルにされてたまるか」
祖父が止めて、丁度タイミング良く帰宅した旦那が止めて、掴み合いは終わった。
私は、私の本音を初めて知った。私は本当は、母の娘に産まれたくなかった。心のどこかで、母が私の娘を虐待するのが怖かった。
娘を守るために、母を殺さないとだめだと思った。